もがみのおかずの盃

歓迎文化が生んだ置かずの盃

真室川町には、昔から“あがらしゃれ”といって遠来の客人を存分にもてなす風習がありました。 そこで使用された盃は、木のこぶを利用して作られ、底が平らではないため一度手渡されれば中身を飲み干すまで置くことができませんでした。 先人のもてなしの心意気と遊び心を現代によみがえらせた“置かずの盃”です。 現代の生活に合わせ、お酒でもコーヒーでも、器を持てばしっくりとくる使い心地で繰り返し使いたくなるような器です。

最上で育った自然素材 漆と木と蔓と藁

その土地で育った素材だけでものづくりをすることは、容易なことではありません。しかし、最上地方は山々に囲まれ、たくさんの自然資源があります。 米を収穫したのち、稲の茎を乾燥させてできる藁。山の中で育った木材や木通(あけび)の蔓。職人が自ら採取する漆。最上地方で育った天然素材のみで、贅沢に作り上げています。

大事に包み込む藁の苞(つと)

包むという行為は、昔から身近な材料を利用して行われていました。 米づくりの盛んな最上地方の農村では、身近な上にしなやかで扱いやすい藁を使って卵を包んでいました。 まとめやすさ、運びやすさ、作りやすさの機能を追求した結果、意識せずに引き出された様の美をかもしています。真室川町の文化であった置かずの盃を苞で包むことで、最上ならではの文化が詰まった品になりました。
制作者の声
木地師 佐藤義英
うるし工房学 佐藤学
蔓細工作家 伊藤和江